小説を舞台化するということはよくあるけれど
だいたいにおいて
つまんなかった
というか
「小説には勝てないなぁ」ってのが
ただ、そこに現れただけだった
だってまあ
小説にかかれた壮大な時間と凝縮された時間をほんの何時間かで
舞台の上で、実現させるなんてドダイ不可能なのだから
と、まさかそう
思っていた自分が
そこの作り手になるとはね
昴の礒辺さんに「やってみませんか?」と言われたとき
安易な役者体の山像かおりは「はいっ」と答えてしまい
家に帰って、悩み深き脳みそ主義の秋之桜子は「かんべんしてよ~」と頭を抱えた
そして
長い
長い
間をかけて
悩みまくり
怒りまくり
悲しみまくり
でも
楽しみまくり
いよいよ
私の手から離れる
小説に勝てるかなんてのは最初から考えなかった
だって
もともと乙一さんの作品は
とても「映像的」で
舞台化というのは
まぁ、ほんと、「うっそでしょ~」みたいな
不可能でしょ、みたいな
そんな匂いぷんぷんだったからね
だけど
だからこそ
自由なところもあった
舞台化に向いているねと、言われている作品を舞台化するより
舞台化は無理でしょうと、言われている作品を舞台化することの方が
ずっと、楽しいし
よく考えて見れば
私は、演出というところをやっていないので
自分が書くとき
「これが舞台化出来るか」なんて考えたことはなかった
あ
そうだ
そうだった
考えたことがなかったんだ
舞台のことは
と言うわけで
私はこの小説を100回よみました
それは面白い経験だったなぁ
他人の文章を100回読むなんて
なかなか出来ることじゃない
卒論書くヒトだったらやりそうかな
でもそれでもきっと他のモノも読むでしょう
私はこれっきゃなかったから
と言うか
これを読むしか
しなかった
他には
何もない
何もなく
なので
まぁ、
ある意味
どんな乙一ファンよりも
私は
ぬきんでてるから
どんな風に
叩かれても
平気な気分にもなっている
一つの作品を書き終わった気持ちは
何もないところから生み出したときと
なんらかわらなかった
ただ
ヒトの想いが
そして具体的にその人の文字が
自分の身体の中に流れ込む
この、ヘンテコな気分は
格別な
特別な
かんじ
好きかというと
正直、うんとはいえない
でも嫌いかというと
正直、うんともいえない
でもこれだけは言える
さらばじゃ